【漫才文字起こし】山口、零士ともに唯一無二の表現を見せるカナメストーンの漫才

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このブログで最近漫才ネタの文字起こしをしているのですが、文字起こしに向かない漫才ネタというものもあります。例えば動きがキーになっている漫才や言い方が笑いに繋がる漫才。つまりテキストでは伝わらない部分が多いものです。

 

マセキ芸能社所属のカナメストーンの漫才も割と動きが入っていたり、山口、零士ともに言い方に特徴があったりするのですが、「M*1グランプリ2020」の準々決勝の彼らのネタがとても面白かったので文字起こしせずにはいられませんでした。

 

www.maseki.co.jp

 

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毎回書かせてもらっていますが、漫才は絶対に漫才として見たほうが良いので、まだ見ていない方はYouTubeなどで見てから読んでみてください。

 

零士 どうもー。僕たち、中学からの同級生でやってますカナメストーンと申します。
山口 あ、ちょ待って、やばい、忘れた! 忘れた、やばい!
零士 何? 忘れたの? 何、何、何よ? どうしたの?
山口 挨拶忘れてた。よろしくお願いします!
零士 あああ、要らない緊張感を漂わせてからの幕開けとなってしまいましたー! (客席に)ねえ? そんなに慌てる必要なかったんじゃないの、と、そういう意見もあるかもしれませんがー。
山口 (零士に対して)ごめんね。
零士 いいよ、結局ちゃんと挨拶したんだから。(客席に)ねえ? よろしくお願いしますー。
山口 あのさー。
零士 どうしたの、何か喋りたいことあんの、どうしたの?
山口 この事態が収束したら、おれ、アイドルの握手会に参加してこようと思ってんの。
零士 ええ、そうなの? あれだよ、さっきみたいに現場で変に緊張感とか出したらすぐ問題になるからね、今。変なことはしないね?
山口 うーん、するらい。
零士 あああ、するとしないの間の返事してきたんですけどー。なんだよ、するらいって。
山口 で、そのアイドルの握手会、おれ、一回行ったことあるんだけど。
零士 ああ、一回行ったことあるんだ。
山口 次行ったとき「初めまして」って言ってみるわ。
零士 うーん、自分のこと覚えてるかテストしようとしてない、なんかー? 握手会行ったらどうやってやろうとしてんの? ちょっと見してみて、それ。
山口 (山口だけコントに入る)初めましてー。い、いや、初めましてじゃなくて、前にも一回会ってますよねえ?
零士 アイドルの子、覚えてなかったんだ。ちょっと止めて、変なことやんないでよ、絶対。
山口 11月17日、14時30分。
零士 自分が暴れる犯行時刻言ってるー! ちょっと止めて、マジで止めて! 変なことやっちゃったらお笑いにも支障出ちゃうよー。
山口 (その場で興奮した変な動き)
零士 あああ、興奮するだけで何かするわけではないんだー! おいおいおいおい、興奮し過ぎだよ、お前。ムヒッ、ムヒッ、じゃないよ、それ!
山口 (コントから漫才に戻る)え、ダメ?
零士 ダメだって! マジで、今、ちょっとでも変なことやっちゃったらすぐ問題になるんだからね。全部の行動を気をつけて行かなきゃいけないんだから。
山口 (自分の袖を零士の前でパタパタさせる)
零士 なんで注意されたのが嫌だからってホコリ吸わせてくんだよ! 何やってんのー?
山口 ごめんね。
零士 ごめんね、じゃない! 握手会の話でしょ?
山口 ああ、さすがにおれも騒ぎは起こしたくねえんだよ。
零士 そりゃそうでしょ。
山口 だから、そのアイドル、おんぶするだけにしとくわ。
零士 えええ、なんでおんぶはセーフだと思ってんのー? アウトだし、そんなおんぶなんてできるわけないでしょ、それ!
山口 (再び山口だけコントに入る)握手お願いします! (握手する両手がクロスするように)こっちの手もお願いします!
零士 なんだ、こいつ、両手で握手して何をやってんだ。
山口 (握手してクロスしている手をくるっと回転させてアイドルをおんぶしているマイム)
零士 握手からおんぶできたー! おんぶできたー! 何をやってんだ、気持ち悪いなー!
山口 (おんぶした状態から動かない)
零士 おんぶした後、連れ去るとかではないんだー! おいおいおいおいおい! バカじゃないの、そんなおんぶなんて! 普通に握手するだけでいいじゃん?
山口 (コントから漫才に戻る)ふっ、おれは、そのアイドルにとって「ああ、あんなやついたなあ」ぐらいでは終わりたくねえんだよ。
零士 え?
山口 置きに行って埋もれちまうぐらいだったら、自分を貫き通して、どんな形であれ、覚えてもらったほうがいいんじゃねえの!?
零士 あああ、お笑いで大事なこと全部言ってるー! 何が悲しいって、その情熱がお笑いに向けられたものではないということなんですよー。おい! 騒ぎ起こすんだから、行くなよ、握手会!
山口 いや、握手会止めてくんだったら喧嘩だよ。
零士 はあ?
山口 いや、喧嘩喧嘩。
零士 (客席に)あ、しないですよ、喧嘩なんかしないしない。
山口 いや、するよ。お前、スピード?
零士 はあ?
山口 お前、スピード?
零士 お前、なに喧嘩する前に相手のバトルタイプ聞き出そうとしてんだよ、それ? 何をしてんだ、ずっと! やだな、変なことばっか、もう!
山口 (急に興奮した感じで)機嫌! 機嫌、機嫌、機嫌! 機嫌、機嫌、機嫌!
零士 ねえ、あのさ、機嫌直してほしいときに「機嫌! 機嫌! 機嫌、機嫌!」そんなんで機嫌直るわけないでしょ?
山口 じゃあ、わかった、これやってあげるから。(零士の両手を掴み胸の前で手を合わせる形にする)行くぞ、行くぞ、行くぞ? (自分の手の平と手の甲をくるくる回しながら)カナメストーン、カナメストーン、カナメストーン、カナメストーン!
零士 なんでお前のその手でやったM-1で優勝した気分を味わわせたら機嫌直ると思ってんだよ! なあにが手でやったM-1だあ? はあ? こっちは本気中の本気でここ立ってんのに、馬鹿じゃないの? なあにが手でやったM-1だあ?
(ここで時間制限の警告音が鳴り始める)
山口 (その音を真似する)ウー、ウー、ウー。
零士 なんで時間制限の警告音、自分で言っちゃってんだよ、それ! なあにが手でやったM-1だあ! もういいよ、どうもありがとうございました!

 

11/17 [東京] カナメストーン【準々決勝ネタ】より

 

面白いですよね。文字起こししながらゲラゲラ笑っちゃいました。

 

ボケの山口、ツッコミの零士ともに唯一無二のテンションというか、表現の仕方というか。特に好きなのが山口がときどき言う零士に対する「ごめんね」。この「ごめんね」のトーンが最高ですよね。このトーンで「ごめんね」と謝られてしまうと何も文句が言えなくなってしまうのを必死で振り払おうとして零士が「ごめんね、じゃないよ!」と突っ込むのも最高。

 

零士のツッコミも山口に直接突っ込むパターンと客席に同意を求める形で突っ込むパターンを組み合わせてるところが他に無いなと思います。

 

そして極めつけが「なあにが手でやったM-1だあ?」というキラーツッコミ。零士は計3回、同じツッコミをしているんですけど、これに関しては何回でも笑えるんですよね。時間制限さえなければあと2、3回言ってくれてもよかった。

 

スピードワゴン・小沢の2021年要注目芸人にも選出されたカナメストーンに今後も注目したいと思います。

 

 

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