神保町花月「予言者たち」感想~予言されたことが本当に起こるという快感~

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「予言者たち」を観るために神保町花月へ。

 

 

ナカゴーもほりぶんも観たことがなかったので鎌田順也作品はこの「予言者たち」が初。今回の作品が鎌田順也らしいものなのかどうかは分からないけれど構成自体が「予言者たち」を表すようにこれから起こることを予言(予告)する形になっていて感心した。それは開演前の客入れのときから始まっていて、出演者たちが順番に登場し、本編で言うであろうセリフを抜粋して発していく。さらに、開演時間になると出演者たちが舞台に並び、自分の役柄の説明とこれから起こることを順番に説明していく。髙畑遊(ナカゴー)に関しては幕の閉じ方まで言ってのけてしまう。この開演前の脈絡のないセリフの数々、役柄紹介とともに説明された無色に近いエピソード、それらはいざ本編が始まってみると色が着き、熱を帯び、パズルのピースがハマるようにあるべき場所へ収まっていく。伏線回収ともまた違う、パーツとストーリーが結びつく気持ちよさこそ「予言者たち」の醍醐味だった。

 

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構成としての予言(予告)が上手くハマっていたのは出演者たちの演技力の賜物であるのだけれど、中でも交通事故により降板となってしまった赤羽健壱(サルゴリラ)の代役を務めた金山寿甲(東葛スポーツ)が抜群の安定感を見せていた。新しいマヨネーズを買いに行こうと店を出ようとし、まだ冷蔵庫に残っていたのを思い出し冷蔵庫に向かい、やっぱり残ってなかったはずと再度店を出ようとし、というのを3往復して一度も外すことなく笑いを起こしていた。自分の思考を思い出すときに必ず言う「あ、違うわ!」という金山のセリフが今も耳にこびりついて離れない。