「時効警察はじめました」第1話感想~目を凝らして観るドラマ~

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時効管理課のプレートからパンニングされたカメラが時効管理課の電球を取り替える三日月(麻生久美子)を映し、フェードインしてきた又来さん(ふせえり)が「だからさ、無趣味な男はケツの穴が小さいって言ってやったんだよ」と思い出話を振る。三日月の立っていたテーブルの下からはボールペンを拾い上げた彩雲真空(新キャスト・吉岡里帆)が「で、霧山さん(オダギリジョー)が時効の事件を調べることになった」とこのドラマのテーマをさり気なく宣言しながら登場。又来さんの「あれからもう13年かあ……」やさらにフェードインしてきたサネイエ(江口のりこ)が「(霧山が)時効の事件を趣味にしようかなあ、とか言い出して」と前作から13年経過していることや主人公が趣味として時効の事件を調べていることにも触れていく。さらにさらに、「三日月くん、彩雲くん、つまんないこと言うなら自分の部署に帰ってくれる?」と熊本課長(岩松了)が怒ることでその2人は時効管理課ではないことに触れ、霧山が食堂のレイコさんから時効事件の遺留品を受け取ってくることによって第1話の本筋にスッと流れ込んでいく。

 

前作を観ている人はもちろん、今作から観始める人にもこのドラマシリーズがどういったものかを伝えるためのムダの無い非常にスマートなオープニングである。そう、「時効警察はじめました」がいよいよスタートした。厳密に言うと第1話の前に第0話としての「時効警察・復活スペシャル」があったわけだが、それを観ていない人にも配慮されている始まりの見事さと「待ってました」の思いを込めて大きな拍手を送りたい。待ってました。

 

オープニングのムダの無さには理由がある。このドラマシリーズの最大の魅力は小ネタ、ギャグ、パロディといったストーリーの本筋とは関係の無い「ムダ」な部分である。その「ムダ」を最大限に入れ込むためには本筋を丁寧に説明している時間は無い。最短で理解させる必要があるのだ。ムダのためにムダを省いていると言っても過言ではないのだ。(©由紀さおり)

 

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第1話の時効事件において重要な鍵のひとつとなるのが「姿かたちが似ているが別物」であること。霧山は鑑識の諸沢さん(光石研)が提示した「ポールにかけられたゴミネットがライオンに見える」というネタ写真をきっかけにそれに気付く。要玲蔵(かなめたまぞう)はボンベから出た一酸化炭素で死んだけれど木炭から出た一酸化炭素だと判断された。思えば霧山が持ってきた遺留品には「要玲蔵(かなめたまぞう)」と記載してあったけれど誰かが「要冷蔵(ようれいぞう)」と読み間違えて食堂の冷蔵庫に保管されていたではないか。

 

あらゆるモノに目を凝らすこと。「時効警察はじめました」が第1話で訴えているのはまさにそれである。目を凝らせば、虫刺されに使わている薬がキンカンではなくサンコンであったことにも、明らかにマウスコンピューターのパロディとしてネズミガスが登場していることにも気付くことができる。監督である三木聡の映画「図鑑に載ってない虫」のキャラクター・チョロリ(ふせえり)が第1話に登場したことにも!

 

最後に第1話を目を凝らして観た結果、好きだったネタ、シーンを挙げておく。

 

・霧山と彩雲の家の電子レンジが同じだったやり取り

霧山「一度、一度、会いたいね~♪」
彩雲「ああ、電子レンジ、うちのと一緒ですねー。」

 

・サネイエが一休さんを嫌う理由

サネイエ「大人側がギャフンって簡単に言い過ぎ」

 

・EAST END×YURI「DA.YO.NE」が流行したのが1994年だということを本人に聞きに行った熊本課長