赤もみじの漫才が面白い

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いつしかのスカート・澤部渡のツイートでマセキ芸能社所属「赤もみじ」という芸人を知った。

 

 

この赤もみじの漫才が面白い。澤部氏が「めくるめく言いがかりの世界」と表現しているように、村田(強面のほう)が阪田(説明しづらいほう)に対して言いがかりをつける漫才なのだが、大抵の場合、それは村田の一方的な決めつけからスタートする。20代の男で女のうなじが好きなんておかしい、好きな食べ物が湯豆腐なんてありえない、先祖自慢する奴は自分が誇れること何も持ってない、など。赤もみじがすごいのは村田の極端な決めつけだったはずの論調がいつのまにか繊細な細部の物語に展開して、観るものをドラマティックに揺さぶってくる点。例えば「好きな女性のパーツ」というネタを観てほしい。

 

 

女のうなじが好きという阪田を「そんなはずない、胸が好きに決まってる」と決めつけるところからスタートする。直接的な下心による「胸が好き」だったはずの話が、なぜか合コンで女からキモいと言われても「女性の胸が好き」というバカな共通点を持つことで男同士の友情が形成される大切な時間、という非常にナイーブな視点に切り替わっていく。裏切られる快感。さらには「うなじが好き」なんて言ってたら男の友だち一人もいなくなる、からの老後に男友だちがいないおじいちゃんの悲壮への飛躍。観たことのない世界に連れて行かれるワクワク感。面白すぎる。

 

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ここでもうひとネタ観てほしい。「先祖自慢」

 

 

先祖自慢する奴も先祖自慢しない奴もどちらも何も持ってないけど、先祖の話をすることによって何も無いやつが浮き彫りになり、立体化してしまう、今までは絵だったものがフィギュアになったら場所取るから邪魔、という理論。この理論をネタに盛り込む勇気とちゃんとお客さんに理解させている構成力に拍手を送りたい。

 

赤もみじは観たことないものを観せてくれる。