2017年1月1日に放送された「笑いの王者が大集結!ドリーム東西ネタ合戦」を観ました。
東京、宮城、北海道までの東代表芸人と大阪、福岡、沖縄まで西代表芸人がネタで勝負する毎年お正月恒例の番組です。総勢40組近くの芸人がネタを披露したわけですが、特に面白かったのが千鳥でした。
スポンサーリンク
2017年のドリーム東西ネタ合戦で面白かった千鳥のネタ
ネタの構造について
小さいころは漫才師ではなく小学校の先生として給食費を盗んだ生徒に熱い説教をしてやりたかった、という漫才でした。「ホームルームでみんなにはバレないように犯人を見つけ出して説教してやる」っていうのをやってみようか、という流れでネタが展開していきます。
ですが、説教の場面なんて全然出てこないんです。なぜならみんな顔を伏せた中で正直に手を上げた犯人(ノブ)の名前を先生(大悟)が「ノブ〜」と声に出してしまう、というボケが延々繰り返されるから。
基本的には「先生がみんなにバラしてしまう」というボケの繰り返しなのですが、ノブに「こっそり連れ出すねん!」と突っ込まれるたびに大悟が「こんな説教をしてやりたい」と熱く語るくだりが挟み込まれます。ここがかなり強いフリになっていて、次の「ノブ〜!」というボケが生きてくるんです。
ネタ中のやりとりを一部引用します。
<教室の設定のコント部分>
大悟 ええ、悲しい事件が起きました。先生はみんなのことを信じてます。みんな、目を伏せてください。正直に手を上げてください。
ノブ (手を上げる)
大悟 ノブ〜!
ノブ ノブ〜、じゃねえ! 全部バレた! こっそり連れ出すねん!
<ここから熱い語り部分> ※基本的に客席に向かってしゃべる
大悟 そうそう、こっそり連れ出して職員室で何を言うてやるかなんです!
ノブ そうやそうや。
大悟 この子は今、心が氷のように冷たくなってるから。こういう生徒を! 抱きしめてあげて! この氷を溶かしてあげんと! それが先生のやることでしょう! やらさしてください。
ノブ 気持ちは熱いんです。
<再び教室の設定のコント部分>
大悟 みんな、目を伏せてください。正直に手を上げてください。
ノブ (手を上げる)
大悟 ……ノブ〜!
ノブ ノブ〜!!!
大悟 みなさん卒業するまでイジり倒しましょう
ノブ 待て待て、大いじめ(おおいじめ)が始まらぁ!
<再び熱い語り部分>
大悟 こんなことで! 子どもたちの人生は狂っていくんですよ!
こんな感じで<コント部分>と<語り部分>を交互に繰り返していきます。そして少しずつ「ノブ〜!」のバラし方やツッコミにバリエーションを付けていくことで最後まで飽きさせないネタになっています。
この年末年始で千鳥のネタが面白かった理由
年末の「THE MANZAI 2016」で千鳥が見せた「お主。」のネタも構造としては「ノブ〜!」のネタと同じです。
ノブの演技力をお客さんに見てもらおう、という導入でネタが始まります。子どもができたことを打ち明ける奥さん(大悟)とその旦那という設定ですが、奥さん(大悟)が「あなた。」と呼びかけるところを「お主。」と呼びかけてしまうというボケが延々繰り返されるのです。
数年前からこの構造のネタは知っていたのですが、2016〜2017年の年末年始でグッと面白さが増したように感じました。
これは千鳥のネタが変わったのではなく観る側のノブに対する評価が変わったからではないかと思っています。
2016年はノブがバラエティーで爆発した年でした。「出来ん!」や「頼まぁ!」などの独特の岡山弁フレーズが追い込まれるノブから発せられているのを目にする機会が増え、「追い込まれる(困る)ノブ=面白い」という構図ができあがりました。
ネタの中で何度も繰り返される大悟のボケにツッコミのパターンが追いつかず困るノブ、そして発せられる岡山弁のツッコミフレーズ。これがバラエティー番組でのノブの振る舞いと重なることで笑いが増幅されたように感じました。
千鳥がそれを狙って年末年始の番組でかけるネタを選んでいたかどうかは分かりません。